翌日。
夏川清美は木村久美の世話を済ませ、とても上品なライトグレーのシャツを着て、黒いハイウエストのワイドパンツを合わせ、ミドルヒールのストラップ付きの革靴を履いていた。豊かな髪は大きなカールにパーマをかけ、薄化粧で、まだぽっちゃりしているものの、オーラは十分だった。
駐車場に着くと、結城陽祐はすでに到着していた。
男性は夏川清美と同じデザインで色違いのシャツを着て、黒いスラックスを履き、車椅子に慵懒に座っていた。夏川清美が来るのを見ると、眉を少し上げ、琥珀色の瞳に満足げな色が浮かんだ。
誰がぽっちゃり女子は醜いと言ったのか?少なくとも目の前のぽっちゃりくんは、身なりを整えると、なかなか見栄えがするじゃないか。
もちろん、もう一つ重要なポイントは、このぽっちゃりくんの服装は彼が買ったものだということだ。
「一緒に行くの?」夏川清美は結城陽祐を見て、そして彼女の後ろにいる健二と車を見て、疑問の表情を浮かべた。
「ああ、用事があるから、ついでに」結城陽祐は気軽に答えた。
夏川清美は頷いて、「うん」と言った。
そう言って、無意識に男性の目を見ると、やはり隈があった。また不眠症なのか?
彼女はこうなることを予想していたが、残念ながら、ある男性は忠告を聞かなかった。今は後悔しているだろう?
でも彼の強迫症のために皮膚移植をするつもりは全くない。
結城陽祐は夏川清美の探るような視線を感じ、何かに気付いたと思い、気まずそうに立ち上がって車に乗り込んだ。健二は急いで車椅子を片付けた。
夏川清美は結城陽祐の感情の変化に気付かず、後に続いて車に乗った。
健二は心の中で文句を言った。陽祐さんはますます偽善的になってきた。明らかに若奥様の味方をしに行くのに、なぜついでだなんて言うのか。結城財閥にどんな業務があって、そんな小さな会社についでに寄れるというのか?
しかし今回、健二は学習していたので、大人しく助手席に座った。
車は結城邸を出発した。
夏川清美は今日特に静かな二人の男性の方を見て、思わず尋ねた。「不眠はひどいの?」
「ああ」結城陽祐は頷いたが、彼の不眠は夏川清美が思っているような強迫症のせいではなく、夏川清美の傷跡を見た後の自責の念と無力感からだった。