林邸。
鈴木末子は風呂から出てくると、林富岡がまだ先ほどと同じ姿勢でいるのを見て、慌てて尋ねた。「あなた、どこか具合が悪いの?」
「大丈夫だ。ただあの二人の馬鹿者に腹が立っているだけだ」林富岡の声には疲れが滲んでいた。
「じゃあ、もう一度病院に...いいえ、家庭医を呼びましょうか」鈴木末子は言葉を途中で意図的に止め、言い方を変えた。
林富岡は怒って言った。「必要ない。大丈夫だ。さっきなつき信託に連絡して、明朝に変更した。その時に具体的な状況を確認して、株式が手に入れば、すぐに手続きを済ませる」
「弁護士を連れて行った方がいいんじゃない?」鈴木末子は目を輝かせた。
「ああ、遺産分配に関わることだから、当然必要だな」林富岡は頷いた。
鈴木末子は口を開きかけた。「あなた、私も...」