第344章 また何か良いことでもしたのか?言ってみろ!

夏川清美は意外に思った。

以前、彼女は雲さんを招待したことがあったが、年を取ると心配事が多くなるものだ。

夏川清美も無理強いはしなかったが、今日彼女が自ら来てくれるとは思わなかった。ちょうど夏川清美も彼女に聞きたいことがあったところだった。

雲おばさんを案内させ、自分は老人に挨拶に行った。

この頃、夏川清美は雲さんと携帯で連絡を取り合い、時々ビデオも送って子供の様子を見せていた。

年を取って一人暮らしをしていると寂しいものだ。特に都会に住んでいると。あのマンションは高級サラリーマンばかりで、夏川清美はいつも心配していたが、雲さんはいつも彼女を安心させ、団地の奥様たちと広場で踊る動画を送ってくれたので、やっと安心できた。今日、彼女が結城邸に来るとは思わなかった。

疑問に思っていたが、雲おばさんがケーキを持って、使用人の後ろをぎこちなく歩いているのを見て、夏川清美はハッと気づき、心が温かくなった。

本来今日はなつき信託の人と約束があったが、昨日すでに用事が済んでいたので、誕生日のことは忘れていた。

雲おばさんが覚えていてくれるとは思わなかった。

雲おばさんが覚えているのは林夏美の誕生日だと分かっていても、夏川清美は気分が良かった。誰かに思い出されている幸せを感じた。

「清美、私、突然来てしまって申し訳ありません」雲さんは周りを見回した。彼女も世間を知っているつもりだった。かつての矢崎家の時代、矢崎家は百年の名門で、基盤も深かったが、この結城邸を見ると、どう見ても日常生活の場というより、皇帝の避暑地のような庭園に見え、気品があり優雅だった。

「いいえ」夏川清美は彼女の手からケーキを取り、ついでに彼女の手を取って中へ歩いていった。

雲さんがまだ主邸に入る前に、老人の方に知らせが届いた。「何だって?清美の誕生日だって?さっきの子はなぜ言わなかったんだ?」

「はい、ご主人様。警備員が雲さんがケーキを持っているのを見かけ、おそらく若奥様のお誕生日をお祝いに来られたのでしょう」結城執事は詳しく報告した。

上階の結城陽祐にも知らせが届いた。

「ぽっちゃりくんの誕生日か?」結城陽祐は言うと、急いで夏川清美の資料を確認し、カレンダーを見た。確かに七月二十一日だった。小声で呟いた。「つまり今日は彼女の十九歳の誕生日か」