第343章 それなら父上は後宮を持つことになるのか?

病院を出た鈴木末子は家に帰って林夏美と対策を練ることにした。

林富岡が入院したというニュースはすぐに各家に知れ渡った。

結城和也は部下の報告を聞いて、「何?林富岡は手に入れられなかったのか?」

「はい」林家を監視していた部下は確実に答えた。

「どうしてだ?なぜだ!」彼らが得た情報では、株式は確かになつき信託にあり、委託者も林富岡の亡き妻だったのに、なぜ林富岡は株式を手に入れられなかったのか?

質問を終えた結城和也は突然林夏美のことを思い出した。「まさか、あのぽっちゃりが持っていったのか?いや、それはないだろう。この件は林富岡を通さなければならないはずだ!」

しかし考えてみると、それも可能性がないわけではない。でなければ、結城陽祐がなぜぽっちゃりと結婚するのだろうか?

彼らはまた一計を食らわされたに違いない!

「和也様、実はこうなんです。矢崎様が残した株式は、相続には前提条件があったんです。林富岡は林さんが18歳になる前に再婚したため、相続権を剥奪され、株式はなつき信託が慈善事業のために管理することになったんです。」部下は若旦那のような大げさな想像をせずに、事実をありのままに報告した。

「は?何だって?」結城和也は話を聞いてソファから飛び上がった。

「はい、情報は確認済みです。林富岡はそのショックで倒れたんです。」

「つまり、みんな無駄骨を折ったってことか?」結城和也は面白そうに尋ねた。みんなが争っていた結果がこれとは思いもよらなかった。

そう言うと、彼は人の不幸を喜び始めた。「はははは……」

部下は「……」

「はははは、笑い死にそうだ。あいつも徒労に終わったってことじゃないか。ぽっちゃりを嫁に迎えなきゃならないのに?本気なのか?今や全国民が彼と林夏美の婚約を知っているのに、破談にできるとでも?夢見てろよ!わーお、俺のピンクダイヤモンドを渡さなくて良かった。渡してたら大損するところだった!」結城和也はソファの上で手足を振り回しながら言った。

この件の調査を担当していた部下は少し躊躇いながら、「正陽様の方は何の動きもなく、林さんに対する態度も変わっていません。もしかして和也様の推測が間違っていて、二少は本当に林さんのことが好きなのではないでしょうか?」