第352章 鈴木末子のもう一つの顔

結城邸に戻ったのは午前3時だった。

夏川清美はシャワーを浴びて、そのままぐったりと眠りについた。

朝は木村久美に引っ掻かれて目が覚めた。

小さな子は彼女の横に寝そべり、クンクン鳴きながら手を伸ばして彼女の顔を触り、鼻を触り、彼女が目を開けて自分を見るまでそうしていた。木村久美はようやく手を止め、じっと彼女を見つめた。

夏川清美はその輝く黒い大きな瞳と目が合うと、小さな子を抱き上げて自分の上に乗せ、その小さな鼻をそっと突いた。「木村久美は起きてママと遊びたいの?」

「あーいやや……」

夏川清美への返事は全く理解できない赤ちゃん言葉だった。夏川清美は笑って、また小さな口を突いてみた。すると小さな子は即座に口を開けて、彼女の手を食べようとした。

夏川清美はわざと手を与えず、しばらく遊んでいると小さな子が焦れて、ウワーッと泣き出した。