第355章 もう一度おじさんと呼んでみて

結城邸。

夏川清美はタブレットを置き、思わず鈴木末子に感心してしまった。

この女性は本当にあの言葉通りだった。心が強くなければ、立場を保てない。

彼女は突然、鈴木さんがどんな家庭の出身なのか気になった。富と地位のためなら、手段を選ばないと言っても過言ではない。

こんな母親を持つ林夏美が、あんな狂気じみた行動を取るのも納得できる。

この母娘は骨の髄まで恐ろしい野心に満ち、法と人命を軽視している。

「ん?」結城陽祐は彼女が読み終わっても黙っているのを見て、林富岡に同情的になったのかと思った。

「彼女はきっと林富岡名義の全財産を自分と林夏美の名義に移したのでしょう」でなければ、殺意を抱くはずがない。

この男はもう彼女にとって用済みだった。

「だから何事も悪い女には関わるべきじゃないよね」結城陽祐は夏川清美に向かって眉を上げた。