第356章 火事場泥棒

林家。

鈴木末子は契約書を持って林家へ急いでいた。槙島秀夫はすでにリビングに座っていた。

林夏美は左足の感覚を失い、イライラして不機嫌な表情を浮かべていた。特に槙島秀夫の整った身なりを見ると、胸が悪くなった。

槙島秀夫は林夏美の視線を感じ取り、「愛しい人、その目つきはなんだい?」

「寝た後は、あなたの愛人たちをちゃんと管理してよ。私のところに存在感を示しに来させないで」と林夏美は嫌悪感をあらわにして言った。

「へぇ、そんなことがあったのか?分かった、次は彼女たちをしっかり教育しておくよ」槙島秀夫は恥知らずにも、余裕たっぷりに返した。

林夏美の顔色が青ざめたり赤らんだりした。「恥知らず」

「夏美ちゃんはなんて言うんだ。私が恥知らずなら、君は潔白なのかい?」槙島秀夫は不満げに言った。以前は彼女との結婚で利益を得る必要があったから、彼が彼女に頭を下げていた。今や彼女たちは林家の最後の株式まで売ろうとしているし、彼女の足もいつ治るか分からない。