第357章 私は世論をコントロールするのが好きだ

「お母さん!」

林夏美は驚いて叫んだ。母が槙島秀夫に同意するとは思わなかった。

鈴木末子は娘の手を握り、「夏美ちゃん、言うことを聞きなさい。あなたと秀夫はもともと婚約していたのだから、結婚は時間の問題よ。早かろうが遅かろうが関係ないわ」

「でも、お母さん、私は...」林夏美は、それは関係あると言いたかった。なぜあのデブ野郎が正陽様と結婚できるのに、自分は以前見下していた予備の男としか結婚できないのか。

特に槙島秀夫は今や悪名高いのに!

「言うことを聞きなさい」林夏美が不満そうにすると、鈴木末子は手に少し力を込めた。

林夏美は歯を食いしばって黙り込んだが、心の中では激しい憎しみを感じていた!

槙島秀夫は母娘のやり取りを見ながら、勝ち誇ったような得意げな表情を浮かべていた。

案の定、林夏美は落ち着きを取り戻し、鈴木末子は槙島秀夫の方を向いて「秀夫さんの好意は分かりました。それならば、決めましょう」と言った。

「義母上、ご承諾ありがとうございます。では結婚式は...」

「今の夏美ちゃんの足の状態では、結婚式の件はあなたに任せることになりますね」鈴木末子は何とか笑顔を保っていた。

「問題ありません。ただ、結婚式を挙げるなら、入籍の日取りも決めないといけません。明日は火曜日で経理部も出勤しているし、いい日だと思いますが」槙島秀夫のこの発言は厚かましいものだった。契約を結んだばかりなのに、早速彼女たちを脅し始めた。

林夏美は激しい怒りを感じたが、どうすることもできなかった。もし槙島秀夫が支払いを引き延ばせば、彼女たちは法廷に立たされることになる。

「それなら、明日にしましょう」鈴木末子は怒りを抑えて言った。

「分かりました。では明日、夏美を迎えに来ます」槙島秀夫は立ち上がり、余裕のある態度で勝利者の微笑みを浮かべた。

「ふふ、案内してあげて」

バン!

人が去るや否や、林夏美は槙島秀夫が使っていたコップを投げつけ、大理石の床で砕け散る音を立てた。目を赤くして母親を見つめ、「お母さん、どうして?どうして彼に同意したの!」