夏川清美は、鈴木末子が一生懸命に働いてきたのに、自分の名義の財産が一つもないことに驚いた。
では、彼女のお金はどこへ?
「下を見てください」結城陽祐は夏川清美の疑問を察した。
夏川清美は下へと読み進めていき、読めば読むほど驚き、最後には嘲笑と溜息が混ざった表情を浮かべた。
この数年間、鈴木末子が林グループから横領したお金は、母娘二人の生活費を除いて、ほとんど全て実家に補填され、そして実家は全て鈴木政博に渡っていた。
そして鈴木末子の名義には、林富岡が彼女のために用意した一つの不動産以外に、価値のある資産は何もなかった。
さらに鈴木末子は前回林富岡に署名を強要した後、林富岡が保有していた全ての投資信託を現金化し、全て鈴木政博を助けるために使っていた。
読み終えた夏川清美は顔を上げ、「本当に言葉もない」