第388章 二少、申し訳ありません

空は曇り、川の水は激しく流れていた。

陸偵は結城陽祐を見つめ、「正陽様、この水域は流れが急で、専門家でも安全とは限りません。よくお考えください」と言った。

「ありがとう」結城陽祐は言い終わると、安全ロープを身につけ、救助隊員と共に川に入ろうとした。

ブルブルブル……

結城陽祐が水に入ろうとした瞬間、彼の携帯電話が突然振動し始めた。眉をひそめながら、一目も見ずに野村越に手渡した。

野村越は口下手で、まだ制止しようとしたその時、着信番号を見て、普段は感情を表に出さない人が突然興奮して結城陽祐の腕を引っ張った。「正陽様、正陽様……」

結城陽祐は、まだ自分を止めようとしているのだと思い、表情は一層暗くなった。「離せ」

野村越は離さず、「正陽様、健二です、健二から……」

しかし、正陽様が理解していないことに気づき、急いで付け加えた。「健二からの電話です、健二からの着信です」