書斎。
結城陽祐は健二の報告を聞き終わると、「加藤迅が直接持ってきて、佐藤清美に夏川お爺さんへ渡すように頼んだのか?」と尋ねた。
「はい、加藤院長がそう仰っていました」健二は慎重に思い出してから、間違いがないことを確認して答えた。
「そうか。あの日、清美はほかにどこかへ行ったのか?」結城陽祐は何か違和感を覚えた。ぽっちゃりくんがなぜその日加藤迅に会えたのか、彼女は特別に会いに行ったのだろうか?
もしかして、まだ昔の恋が忘れられないのか?
「それは...マンションだけです。でも、お電話をいただいた後、私は上の階に上がりましたが、若奥様を見つけるまでにかなり時間がかかりました。彼女は階を間違えたと言っていました」健二は耳の後ろを掻きながら、まるで二重スパイをしているような気分だった。