第409章 野外手術、夏川清美の正体がバレる

消防車、救急車、パトカーが現場に集まり、この地域の交通は完全に渋滞し、現場は非常に混乱していた。

結城陽祐は木村久美を抱きながら、事故現場の中央にいる夏川清美を見つめ、人々の議論を聞きながら、表情を曇らせた。子供を藤堂さんに預け、夏川清美の方へ歩いていった。

警察はすでに規制線を張り始め、結城陽祐を見て少し驚いた様子で、「お客様、後ろに下がってください。前は非常に危険です。」

「私の妻が中にいます。」結城陽祐は低い声で言った。

「奥様ですか？」警察官は目の前の気品のある優れた男性を見て、事故現場の中心を見渡した。意識不明の負傷者、救急医の男性、そして地面に跪いて人命救助をしている太めの女性。彼の妻？どちらの方が？

結城陽祐は警察官の視線の先を追い、少し誇らしげに口角を上げた。「ええ、今急救をしている女医です。」

若い警察官は口をパクパクさせ、一目見ただけで忘れがたい最上級の容姿を持つ男性を見て、そして地面に跪いている、顔は見えないものの後ろ姿からしてかなり太めに見える女性を見た。この二人が...夫婦？

「中に入ってもいいですか？」結城陽祐の澄んだ声には焦りが抑えられていた。

「これは...大丈夫でしょう。」結城陽祐のその顔を前にして、相手が男性警察官でも抵抗できなかった。

結城陽祐はそれを聞くと、直接事故現場に向かって歩き出した。

夏川清美はすでに手術の準備を整えていたが、突然結城陽祐が入ってくるのを見て、「外に行って。中は危険よ。」

「ここで待っている。」結城陽祐は断固として言った。

「でも...」

「時間を無駄にするな。」結城陽祐は夏川清美の言葉を遮った。

夏川清美はこの男性の性格を知っていた。一度決めたことは、彼女が簡単に変えられるものではなかった。

少し躊躇った後で頷き、傍らの救急医を見た。「始めましょう。あなたは彼女の外傷の処置を担当して、大出血を防いでください。」

「はい。」先ほどまで夏川清美に疑問を持っていた救急医は、彼女の一連の措置を見た後、すでに彼女を信頼し始めていた。

夏川清美はこれを見て、もう話すことなく、黙って皮膚を切開し始めた。