第413章 久美が歯が生えた

整列して出迎える使用人たちを見て、結城陽祐は眉をひそめ、先に戻っていた結城執事の方に目を向けた。

突然冷たい視線を向けられた結城執事は身震いし、「これはお爺様のご意向です」と言った。

そう言って、結城陽祐が信じないかもしれないと思い、携帯を差し出した。「ご覧ください」

「やあ、着いたのかい？どいてくれ、久美と清美を見せてくれ！」お爺さんは携帯越しに結城陽祐を必死に横に押しのけようとした。

物音を聞いた夏川清美は急いで久美を抱き上げ、結城陽祐を押しのけた。「お爺様、着きましたよ。久美はここにいます。道中とても良い子でしたよ」

「よかったよかった。私のひ孫は違うね」お爺さんは嬉しそうに久美に手を振った。

結城陽祐は画面の中で髭を震わせ、元気はつらつとしたお爺さんを見て、「……」

まったく、しつこい！

夏川清美は結城邸のお爺さんとしばらく話をしてから、携帯を結城陽祐に渡した。「お爺様があなたと話したいそうです」

結城陽祐は不本意そうに携帯を受け取り、まず結城執事を見た。「清美を彼女の部屋に案内してくれ」

そう言うと、自分は二階の書斎に入った。

ドアを閉めるとすぐにお爺さんの表情が曇った。「今日の事故は偶然じゃないだろう？」

「世の中にそんなに偶然なんてないさ」結城陽祐は冷たく口角を上げ、画面のお爺さんを見た。「まだ親族の情を考えろと？」

「もういい、京都の件は君の判断に任せる。私は年を取りすぎて口出しできんよ」お爺さんはため息をつき、声には老いの色が滲んでいた。

結城陽祐はお爺さんが突然疲れた表情を見せるのを見て、やっと口調を和らげた。「清美がいないなら、太極拳の練習でもしていればいい。私は何をすべきか分かっている。清美が冬休みになったら連れて行くよ。そっちで寂しければ、こっちに来てもいい」

「君こそ寂しいんだろう。この生意気な！お爺さんにどう話してるんだ？」結城お爺さんは不満そうに口髭をピクピクさせた。

「はいはい、私が寂しいんです。これでいいですか？」結城陽祐はお爺さんの非対称に動く口髭を見るたびにイライラした。

結城お爺さん、「……」

「切りますよ」結城陽祐はお爺さんが固まるのを見て、眉を上げて言った。