第420章 まさかお前から誘ったのか？

夏川お爺さんの手は、ほとんど結城陽祐の額に触れそうなほど近づいていた。

結城陽祐の表情が暗く沈んでいるのを見て、夏川清美は慌てて立ち上がった。「お爺さん、これは彼の責任じゃありません！」

「どうして彼の責任じゃないんだ？まさかお前が誘惑したとでも言うのか？お前にそんな度胸があるのか？」お爺さんは怒りで胸が激しく上下した。大切な孫娘が突然死したうえ、若い娘の体に生まれ変わって子供まで産んでしまうなんて。この娘はまだ若すぎる。きっと結城家のこの若造が不埒な真似をしたに違いない。

「私に度胸がないですって？私が誘惑したんです。彼のことを悪く言わないでください！」夏川清美は結城陽祐の前に立ちはだかり、怒りの目で自分のお爺さんを見つめた。

結城陽祐は指をつきつけられて非常に腹を立てていたが、まさか自分のぽっちゃりくんがこんな重要な時に自分を守ってくれるとは思わなかった。先ほどまでの不機嫌な気持ちは瞬時に和らぎ、得意げに老人を横目で見た。

夏川お爺さんはちょうどその結城陽祐の得意げな表情を目にして、瞬時に爆発した。「この薄情者め、男を見たら命も顧みないのか？出て行け、出て行け。お前の孝行なんていらん。さっさと出て行け！」

「お爺さん！」夏川清美も怒り出した。

「誰がお前のお爺さんだ。出て行け、みんな出て行け！」お爺さんは背を向け、食事もそこそこに部屋に入り、ドアをバタンと閉めた。

台所にいた三人は物音を聞いて、慌てて走り出てきた。

「若旦那、またあのお爺さんが何か言ったんですか？」健二は口にチキンの足を咥えたまま、もごもごと話した。

結城陽祐は自分のぽっちゃりくんの目が赤くなっているのを見て、手を伸ばして彼女を自分の膝の上に座らせた。「怒らないで、悲しまないで。ただの頑固じいさんだよ、気にする必要はない。」

夏川清美は黙って俯いていた。この数年間、彼女とお爺さんは毎回このように、来る時は楽しく、帰る時は喧嘩して帰るという具合だった。特に気にはしていなかったが、横にいる男性を見て、「ごめんなさい、あなたまで私と一緒に辛い思いをさせて。」

「そんなことないよ。僕のぽっちゃりくんが僕をしっかり守ってくれたからね。」結城陽祐は心からそう感じていた。

夏川清美は苦笑いして、「じゃあ、私たち今…」