夏川義経は国内トップクラスの漢方医で、漢方医学の研究においては誰も及ばないほどの存在だった。
彼が開発した火傷用の軟膏は、さらに驚くべき効果があった。
残念ながら、お爺さんは変わった性格で、薬の調合に関して厳格な基準を持っており、使用する薬材も高価なため、多くのメーカーはコスト計算の結果、製造を断念していた。
夏川清美は今日、結城陽祐がこの薬を手に入れることになるとは思ってもみなかった。
彼女は軟膏を受け取り、お爺さんに甘く感謝の言葉を述べた。
夏川義経は彼女の笑顔を見てしばし呆然とした。二人は寄り添って生きてきて、清美の性格を知らないはずがない。しかし、この娘が彼の家に入ってきてから、最初の緊張を除けば、ずっと穏やかな笑みを浮かべ、心の奥底から柔らかな雰囲気を漂わせていた。