第430章 1輪の可憐な花に縛られたくない

まだ不満そうな父親を見て、結城和也は父親がまた愚かなことをしないように心配して、「お父さん、実は喜ぶべきなんですよ」と言った。

そう言いながら、習慣的にソファーに寝転がり、ついでに足を組んだ。

結城峰は呆れて笑った。「私が喜ぶべき?私は彼が私を殺さなかったことに土下座して感謝すべきだとでも?」

「三叔父さんの息子のように、今頃飛行機の中で息子の無事を祈って涙を流しながら、SIS教のテロリストと身代金の交渉をして、息子が殺されないかと心配する羽目にならなくて良かったんですよ」と結城和也は肩をすくめた。

彼は実際、三叔父の今回の計画は非常に成功していたと思っていた。結城陽祐がその時方向転換さえしなければ、死ななくても重傷を負っていたはずだった。しかし相手はまさにその瞬間に方向転換したのだ。彼はついあの妖怪には危険を予知する能力でもあるのではないかと疑ってしまった。

結城峰はそれを聞いて、今朝藤原家で今回の件の対処について相談しようとしていた時、突然電話を受けた時のことを思い出した。普段は泰山崩るるも色を変えぬ人が、その場で取り乱してしまった。

息子の言うことも一理あると感じた。

しかし横を向いて結城和也の不肖な放蕩息子の態度を見ると、また腹が立った。「お前が誘拐されればよかったのに、結城直樹じゃなくて。少なくとも彼の方がお前より役に立つ」

結城和也は「……」実の父親かよ?

「わかりました。私は行きます。あなたの実の息子が帰ってきたら、線香を上げてください」結城和也は言い訳を見つけて、逃げ出そうとした。

しかし結城峰に蹴られてソファーに戻された。「演技はやめろ。しばらくここにいろ。お前の母さんが矢崎家のお嬢様を招待した。今年医学部の三年生で、お前の母さんの話では美人で学識もあるそうだ。今日はちゃんとした態度を見せろ」

結城和也は驚いて「本気ですか?」

「お前が自分で約束したんじゃないか?」結城峰は怒りの目で睨みつけた。この逆子にいつか殺されそうだ。

「私は...その時は一時の感情でした」彼は結城陽祐が太った女を見つけたと聞いて、他の面では奴に勝てなくても、少なくとも妻選びでは負けたくないと思ったのだ。

そして矢崎家の娘は京都で美貌で有名だった。