第434章 残念ながら彼が好きなのはこのデブの私

結城陽祐は講堂の人だかりを一瞥し、最後に夏川清美のいる方向に視線を固定させ、唇の端を微かに上げた。

岡田千明は口を少し開けて、「見た?二少が私たちの方を見て笑ったわ。まさに京都一の美人よね。矢崎碧里よりも美しいと思うわ。男性なのにこんなに美しいなんて、本当に命取りだわ」

「私もそう思う」鈴木真琴は艶やかな美人タイプで、学部の花形的存在だったが、この時ばかりは一人の男性に及ばないことを認めざるを得なかった。

夏川清美は不思議そうに「矢崎碧里って、女優さん?」

「知らないの?そうか、あなたは信州市の人だったわね。矢崎碧里は私たちの一つ上の先輩で、本物のお嬢様よ。去年、京都一の美人に選ばれて、医科大学のミスキャンパスだったの」ここで岡田千明は鈴木真琴の方を向いてにっこりと笑い、「実は真琴姉の方が美しいけどね」