第434章 残念ながら彼が好きなのはこのデブの私

結城陽祐は講堂の人だかりを一瞥し、最後に夏川清美のいる方向に視線を固定させ、唇の端を微かに上げた。

岡田千明は口を少し開けて、「見た?二少が私たちの方を見て笑ったわ。まさに京都一の美人よね。矢崎碧里よりも美しいと思うわ。男性なのにこんなに美しいなんて、本当に命取りだわ」

「私もそう思う」鈴木真琴は艶やかな美人タイプで、学部の花形的存在だったが、この時ばかりは一人の男性に及ばないことを認めざるを得なかった。

夏川清美は不思議そうに「矢崎碧里って、女優さん?」

「知らないの?そうか、あなたは信州市の人だったわね。矢崎碧里は私たちの一つ上の先輩で、本物のお嬢様よ。去年、京都一の美人に選ばれて、医科大学のミスキャンパスだったの」ここで岡田千明は鈴木真琴の方を向いてにっこりと笑い、「実は真琴姉の方が美しいけどね」

「うるさい」鈴木真琴は嫌そうに言った。

夏川清美は彼女の話を聞いて少し思い出した。矢崎碧里は矢崎家の人で、もし間違っていなければ林夏美の従姉妹だろうか?

しかし夏川清美は岡田千明の方を見て、「でも一番の美人は二少だって言ってたじゃない?」

「あ...ははは、清美ちゃんって本当に可愛いわね。男女関係なく言えば、もちろん二少が一番美しいわ」岡田千明は夏川清美に笑われた。

夏川清美は急に恥ずかしくなった。そんなことを忘れていたなんて。顔を上げると、ちょうど結城陽祐の視線と合い、思わず微笑んだ。

結城陽祐はそれを見て、琥珀色の瞳の中の笑みがより深くなった。

これで会場の女子学生たちはさらに夢中になった。

夏川清美は周りの熱狂の中で、ある秘めた喜びを感じていた。あの人が自分に向けて笑っていることを知っていたから。

学校側は恐らく初めて、自分たちの学校にこんなにも多くの学生がいることを知ったようで、年配の顔に花が咲いたような笑みを浮かべ、すぐにでも皆に二少から追加で三千万円の資金提供があったことを発表したがっているようだった。

医学部は他の学部と違い、資金の支出が極めて大きく、研究費も高額だ。結城財閥は理事として毎年多額の資金を投入しているが、より深い研究や新しいプロジェクトを始めるとなると、さらなる資金が必要となる。

しかもそれほどの資金を使っても、すぐに成果が出るとは限らない。