第445章 愛憎相半な夏川お爺さん

評価欄の雰囲気とは全く異なり、ある人が無邪気な口調で尋ねた。「この林くんって誰?心臓外科専攻なの?一年生なのに見たことないけど。」

その下にも学生たちが便乗して、「そうだね、特徴的な顔立ちなのに見たことないよね?」

「普通すぎて気付かなかっただけじゃない?」と夏川清美のために説明する人もいた。

「いや、心臓外科ってそんなに人数多くないでしょ。さっき皆に聞いたけど、誰も見たことないみたいだし。」最初に質問したIDが返信した。

「もしかして転科したの?」

「そういえば、私も学校で見たことないな……」

「転科してきたの?」

「……」

返信が増えていくにつれて、スレッド全体が脱線し始め、皆が林夏美は誰なのか気になり始めた。まるで突然現れた人物のようだった。

スレッドを読み終えた岡田千明も思わず興味深そうに尋ねた。「清美、前は心臓外科じゃなかったの?」

「ああ、前は臨床医学部だったの。」そう言いながら、既に編集済みのメッセージを結城陽祐の方に送信した。

岡田千明は納得した様子で、「みんなに教えてくるね。」

しかし、アカウントにログインして探そうとすると、スレッドが消えていることに気付いた。彼女は意地悪く笑って言った。「きっと神崎裕美があまりの批判に耐えられなくて削除したんでしょ。自分で自分の首を絞めちゃったみたい。」

夏川清美は微笑んで、「気にする必要ないわ。ただのピエロよ。」

岡田千明はその言葉を聞いて、しばらく夏川清美を見つめていた。夏川清美は少し居心地が悪くなり、「どうしたの?」

「清美、さっきの話し方、まるで女王様が降臨したみたいだったよ。本当にあんな風に言われても気にならないの?私だったら、そんな風に中傷されたら絶対泣いちゃうよ。」岡田千明の表情は柔らかく可愛らしかった。

夏川清美はその様子を見て嬉しくなり、岡田千明の頭を優しく撫でた。「中傷であれ事実であれ、人の口は自分のものじゃないわ。他人の悪意で自分を苦しめる必要なんてないでしょう?」

神崎裕美の滑稽な暴露批判よりも、夏川清美が気になったのは、後ろの方で彼女を見たことがないという返信だった。

一年間学校に通っていなかったことは彼女自身には影響がないが、それが暴露されると学校への影響が良くない。