第458章 このいまいましいぽっちゃりくん

「二少はご機嫌が悪いのですか?」夏川清美は車に乗り込んで尋ねた。

健二は頷いて、「どうしてご存知なのですか?」と聞いた。

「あなたの体から青草の香りがするから分かったわ」

「え?」健二は一瞬戸惑った後、理解して「お気をつけてお帰りください」と言った。

夏川清美は頷き、男性が怒っている理由を大体察していた。

自分のせいだ。

そう思うと、夏川清美の気持ちは暗くなった。

屋敷に戻ると、車がまだ本館に着く前に、ブドウ棚の下にいる雲おばさんが見えた。健二に車を止めてもらい降りると、二つのツルツルした頭が目に入った。それぞれの手にブドウを一粒ずつ持っていた。

夏川清美は二人の小さな子供たちを見て、面白そうに雲さんと藤堂さんに「これはどういうことですか?」と尋ねた。

「二少が、なぜ一人は髪の毛があって一人はないのかと聞いて、それで久美も坊主にしてしまったんです」藤堂さんは、自分の息子を連れてきた初日にこんなことになるとは思っていなかった。