第449章 彼はいつ満腹になるの?

「清美……」

「うん」結城陽祐が続けて二回彼女を呼ぶと、夏川清美は苦しそうに返事をした。

「いつ満腹になるの?」結城陽祐は掠れた声で尋ねた。

夏川清美は首まで赤くなり、「も、もう少し」と答えた。

「うん」

結城陽祐のその一言で、部屋は再び静かになった。

普段は赤ちゃんに授乳しても特に何も感じないのに、今日は小さな子が食べる時間が特別に長く感じられた。そして9月の京都は本当に蒸し暑かった。

夏川清美は腕を上げて顔を扇いで、自分の体温を下げようとしたが、全く効果がなく、かえってこの動作のせいで作為的で気まずい雰囲気になってしまった。

話題を探そうとしたが、このような状況では頭の中が真っ白になって何を話せばいいのか分からなかった。

幸い、隣の男性がようやく口を開いた。「来年の誕生日はどう過ごすつもり?」

夏川清美は一瞬戸惑った。今年の誕生日がまだ終わって間もないのに?でも、話題があるのはないよりましだと思い、しばらく考えたが結局どう過ごすべきか分からず、「考えてなかった」と答えた。

「じゃあ、何かプレゼントは欲しいものある?」結城陽祐は夏川清美を見つめながら優しく尋ねた。

夏川清美は真剣に考えた末、「特に欲しいものはないかな。あなたは?」

「僕?例年は祖父が誕生パーティーを開いてくれるけど、十年変わらずつまらないんだ。もう一度考えてみて、何か欲しいものない?」結城陽祐は諭すように言った。

「誕生日に必ずプレゼントが必要なの?」夏川清美は本当に何も必要ないと感じていた。今年、今まで貰えなかったものは全部揃ったし。

結城陽祐は少し不満そうに、「来年の誕生日で二十歳になるから、結婚登録をしよう」

夏川清美は頭が真っ白になり、信じられない様子で男性を見た。「本当に?」

「なぜ本当じゃないの?」結城陽祐は意味深な眼差しで夏川清美を見つめた。

夏川清美はその視線に落ち着かなくなり、「私と結婚したら、後悔はできないし、浮気もダメ。法律で定められた夫としての義務と責任を守って、お互いに誠実でいなきゃダメ。さもないと……」

「さもないとどうなる?」結城陽祐はぽっちゃりくんの最後の警告めいた口調を聞いて、興味深そうに尋ねた。