第455章 やばいやばい、二少様が発作を起こした

この分析を経て、本田亮典は林夏美を見る目に畏敬の念が宿った。

残念ながら夏川清美は全く気付いていなかった。

ぼんやりと午前中を過ごし、夏川清美が寮に戻って服を取りに行こうとした時、結城陽祐からメッセージが届いた。非常に簡潔な二文字で、「帰れ。」

夏川清美は少し考えたが、無視することにした。

今は頭が混乱していて、あの男に謝る余裕も気持ちもなかった。

少し憂鬱な気分で寮に向かって歩いていった。

……

月ヶ池邸。

結城陽祐はとても苛立っていた。善意のつもりだったのに、あのぽっちゃりくんには悪意に取られてしまった。でもそれは重要なことではない。重要なのは、ぽっちゃりくんが今でも加藤迅のことを忘れられていないということだった。

十数年も好きだった人を即座に忘れることが非常に非現実的で不自然なことだと分かってはいたが、理解はできても受け入れることはできなかった。

午前中ずっと結城陽祐の心は落ち着かず、ついに夏川清美にメッセージを送ることにした。

しかし30分待っても夏川清美からの返信はなく、表情はますます暗くなっていき、最後には立ち上がって外に向かった。

ただし途中で結城陽祐は我に返った。自分は何をしているんだ?たかがぽっちゃりくん一人のために心が乱れているなんて、狂っているのか?

明らかにあのぽっちゃりくんが悪いのに、なぜ今自分が彼女を探しに行こうとしているんだ?

結城陽祐は考えれば考えるほど不愉快になり、遠くに立っている健二を見つけた。「なぜそんなに離れて立っているんだ?私が嫌いなのか?」

健二は困惑した表情で、「い、いいえ。」

そんなことを思う勇気なんてあるはずがない。

「じゃあなぜそんなに遠くに立っているんだ?」結城陽祐は険しい表情で尋ねた。

「私は…」ご機嫌が悪そうだったからですが…

「下の芝生が乱れているのが見えないのか?行って、きちんと整えろ。」結城陽祐は二階から、前回夏川清美が木村久美と遊んでいた芝生を見下ろしながら嫌悪感を込めて言った。

健二は呆然として、六角形の形に整然と刈り込まれた広大な芝生を見つめた。「……」

泣きたい!

こうなることは分かっていた、分かっていたんだ……

健二は泣きそうな顔で芝生を刈りに降りて行った。