翌日。
木村久美に餌をやった後、夏川清美はレストランへ向かった。
木村久美にミルクを与えるようになってから、夏川清美の食事も変化し、スープ類を減らしていた。
朝食を済ませた後、夏川清美と結城陽祐はそれぞれの場所で1時間運動し、その後さっぱりと shower を浴び、皆が邸宅に来る準備を始めた。
健二は夏川お爺さんと韓さんのお母さん、雲さんと藤堂さんの子供の世話を任された。
結城叔父さんは数台の小さなテーブルを月ヶ池の傍に運ばせ、3メートルの長テーブルを作り、テーブルクロスを敷き、花と食器を並べ、そばには夏川清美の希望通りバーベキューコンロを数台設置した。食材は邸内で採れたものの他に、北海道から空輸で新鮮な海鮮も取り寄せた。
夏川清美は邸内の人々が忙しく動き回るのを見て、自分の一言で皆を振り回してしまったことに気付き、申し訳なさそうに隣の男性を見た。「私、勝手なことをしてしまったかしら?」
「ここは十数年も賑やかな雰囲気がなかった。結城叔父さんは誰よりも喜んでいると思うよ」結城陽祐は床から天井までの窓の前に立ち、外で忙しく働く使用人たちを見ながら微笑んで言った。
夏川清美は彼の声に漂う物悲しさを感じ取り、尋ねた。「ここには客を招いたことがないの?」
「父が亡くなり、母が去り、結城家の本家が崩壊して以来、月ヶ池邸は外部に開放されていない」結城陽祐は何かを思い出したように、遠くを見つめる目が少し物憂げだった。
夏川清美は思わず彼の手を握った。「陽祐さん...」
この男性を思わず心配してしまう。
二人とも親との縁が薄いようだった。彼は父を早くに亡くし、彼女は父親不詳。彼の母は早くに去り、彼女も同じだった。
「大丈夫だよ。昨日も言ったように、君はこの邸の女主人だ。客を招くような些細なことは自分で決めていい。彼らを振り回すことについては?結城家は彼らを養老のために雇っているわけじゃない。余計な心配はしないで」結城陽祐は夏川清美の手を握りながら掌で弄びつつ言った。
夏川清美は頷いた。「そうね」
確かにこの邸には新しい活力が必要だった。