第492章 夏川清美が忘れた書類

嫉妬は人の顔を変える。

夏川清美は自分が今や歪んでしまったと感じていた。

しかも、その元凶の二人は楽しそうにしていた。

子供は生まれつき父親が好きなようで、結城陽祐がいると、木村久美はいつもより遅くまで寝なかった。逆に夏川清美は付き合いきれず、うとうとして、ついには眠りに落ちてしまった。

朝も相変わらず木村久美に髪を引っ張られて目が覚めた。

目を開けると、髪を引っ張って悪戯する息子の他に、息子が彼女の髪を引っ張るのを頭を支えながら見ている男性もいた。

夏川清美は父子二人を見て、この生活こそが本来あるべき姿だと恍惚と感じた。

温かく、愛おしい。

そう思うと、小さな子供に髪を引っ張られて痛くても気にならず、むしろ大小二人に笑顔を向けずにはいられなかった。

彼女が笑うと、木村久美も一緒に笑った。