林夏美のグループ5人が準決勝に進出したというニュースはすぐに学校中に広まった。
しかし、誰もそれを特に期待していなかった。
医学生たちは皆、予選は理論知識を競うものだが、林夏美のグループの最大の問題は理論ではなく、実技にあることをよく知っていたからだ。
そのため、岡田千明が成績を掲示したとき、また嘲笑の声が上がり、「医学は暗記だけなら小学生でもできる」と揶揄する者もいた。
さらには「頭でっかちの役立たず」と直接言い放つ者もいた。
岡田千明も怒りを抑えきれず、「私たちは予選で矢崎碧里のグループの総合得点を上回ったんだから、準決勝でも彼らを超えられる。見ていてよ」と言い返した。
その夜、岡田千明の豪語は医科大学の隅々まで広まった。
多くの人々は、彼らが予選を通過しただけで国際的な賞を取ったかのように振る舞っていると思い、経験不足だと笑った。
そして、騒ぎを大きくしたがる者が、林夏美と矢崎碧里の両グループについて投票スレッドを立てた。
結果は向こうが千人以上の支持を得たのに対し、林夏美のグループはわずか数十人で、そのうち十数人は岡田千明と來福と黒川花音のサブアカウントだった。
みんなにとって、これは全く勝負にならない試合だった。
数人はこれを見て闘志を燃やし、その後の準備期間はより一層努力した。
夏川清美はこれらすべてを見ていて、これこそが青春なのだろうと感慨深く思い、普段は怠惰な心にも珍しく勝負への欲が湧いてきた。
結城陽祐は健二からこの件を聞き、面白がった。自分のぽっちゃりくんが負けるはずがない、冗談じゃない。
彼は夏川清美が大会に参加する目的は好ましくないと思っていたが、だからといって婚約者をいじめられるのを黙って見過ごすわけにはいかなかった。
そこで、その夜、Yという新規アカウントが医科大学の掲示板にログインし、林夏美のグループに投票し、さらに林夏美のグループに投票した全ての学生に1万円を送金した。
備考には「目が利くね」と書かれていた。
朝、岡田千明は自分の口座に3万円が追加されているのを見て呆然とした。
同じように呆然としたのは來福と黒川花音もだった。