午後五時半、岡田千明は生きる気力を失ったように顔を上げた。「あやねえさん、私は漢方医学に向いていないかもしれません」
鈴木真琴は何も言わなかったが、その表情が既に答えを示していた。彼女も向いていないかもしれない。
お爺さんは二人を一瞥し、珍しく怒らず、むしろ辛抱強く二人を見つめた。「一日で百種類の薬の外観、効能、薬効を暗記させるのは、確かに無理な要求だったな。これは来週の課題とする。来週の土曜日に確認しよう」
二人は密かにほっと息をついた。この師匠にもまだ人情味があるようだ。
傍らで見ていた夏川清美は、薄く微笑みを浮かべながら、心の中でお爺さんも確かに年を取ったと感じた。昔なら覚えられなかったら、叩かれていたはずだ。
夕食後、健二が迎えに来た。
夏川清美はお爺さんを見て、「じゃあ...私たち行きます?」