第514章 彼女が払った金額の3倍を払おう!

ホテル。

夏川清美は一般人より五感が鋭く、痛みもより強く感じる。

白いベッドで目を覚ますと、後頭部に鋭い痛みが走り、首も動かせないほどだった。

彼女は目玉だけを動かして周囲の状況を確認した。

部屋の配置からしてホテルの客室に間違いない。

でも、なぜホテル?

夏川清美は意識が戻ったばかりで、頭がまだはっきりせず、先ほどの中年夫婦のことを思い出していた。結城家の両家の人間なのか?それとも誰かを怒らせてしまったのか?

相手が打った針は尋常ではなく、ツボを正確に突き、手際が良かった。

しかも針には麻酔薬が塗られており、今は手足が痺れている。

だがそんな手荒な真似をする人間が、なぜ彼女をホテルに連れてきたのか?

考えているうちに、夏川清美は個室を出た時よりも体の熱が強くなっているのを感じた。