「陽祐さん、地下の出口で爆発があったようです!」野村越が答えた。
結城陽祐の声が一瞬上ずった。「地下の出口?」
「そうだと思います。」野村越が外の濃い煙を見上げながら答えると、陽祐さんが既に車から飛び降りているのを見て、慌てて後を追った。
結城陽祐の心臓が締め付けられるように痛んだ。自分に言い聞かせた。ぽっちゃりくんは大丈夫なはずだ。もうこんなに時間が経っているのだから、彼女がまだそこにいるはずがない。
しかし、自分を慰めようとしても、心の中に湧き上がる不安が彼を飲み込もうとしていた。震える手で夏川清美の番号を押すと、二回鳴ったが誰も出なかった。
「きっと私のことを怒っているんだ。」結城陽祐は小声で呟いたが、再びダイヤルを押す手は既に震えていた。かすれた声で野村越に命じた。「清美に電話をかけろ。」