野村黒澤は仕事に細かいことまで気を配り、二人の長い人生の軌跡から三十二の怪しい場所を見つけ出した。
その中には国内の五つの都市以外に、北米の十都市、オーストラリアの三都市、日韓の五都市、北アフリカの三都市、ヨーロッパの六都市が含まれていた。
範囲が広く、調査は非常に困難だった。
「北米の十都市はほとんどがイェール大学の近くに集中していて、ボストン、ニューヨークなどを含みます...」野村黒澤は詳細な報告の後にまとめた。「加藤院長の広範な遍歴に比べて、夏川先生の軌跡はずっと単純です。大学時代に北アフリカの三カ国で医療支援を行った以外は、ヨーロッパの六都市を旅行しただけで、国内の都市は全て学術活動への参加でした。二人の軌跡が重なるのは、ニューヘイブン、ボストン、ニューヨーク、リビア、アルジェリアです...」