第557章 長く眠っていたの?

野村黒澤は仕事に細かいことまで気を配り、二人の長い人生の軌跡から三十二の怪しい場所を見つけ出した。

その中には国内の五つの都市以外に、北米の十都市、オーストラリアの三都市、日韓の五都市、北アフリカの三都市、ヨーロッパの六都市が含まれていた。

範囲が広く、調査は非常に困難だった。

「北米の十都市はほとんどがイェール大学の近くに集中していて、ボストン、ニューヨークなどを含みます...」野村黒澤は詳細な報告の後にまとめた。「加藤院長の広範な遍歴に比べて、夏川先生の軌跡はずっと単純です。大学時代に北アフリカの三カ国で医療支援を行った以外は、ヨーロッパの六都市を旅行しただけで、国内の都市は全て学術活動への参加でした。二人の軌跡が重なるのは、ニューヘイブン、ボストン、ニューヨーク、リビア、アルジェリアです...」

「二人の軌跡が重なる場所を重点的に調査しろ。それと、ヨーロッパはどういうことだ?」佐藤清美が一人でヨーロッパの六都市を訪れた?

「卒業旅行です。ニューヨークから直行便で行き、ロンドンからオックスフォード、バーミンガム、リバプール、ヨークを経てエディンバラまで行き、その後突然帰国便に乗り、クリーブランド市に行って、そして帰国しました。」野村黒澤は急いで説明した。

「卒業旅行?なぜY国を選んだ?そこに何か特別なものがあるのか?」結城陽祐は静かに呟いた。

野村黒澤は陽祐さんの質問に答えられなかった。

「Y国も重点的に調査しろ。怪しい人物や航空便を全て監視しろ。」結城陽祐は沈黙した後に命じた。

野村黒澤は承知した。

野村黒澤が退出した後、結城陽祐はいくつかの国の地図を探し出し、二人の生活軌跡と照らし合わせた。

調べてみると、二人の人生の大半がほぼ重なっていることが分かった。

しかし今回は結城陽祐も心の中で妬む余裕すらなかった。

...

プライベートジェットの中。

夏川清美は目を開けると、すぐに端正な顔立ちが目に入った。一瞬戸惑って、「先輩?」

加藤迅の心は喜びに満ちた。「やっと目を覚ましたんだね!」

夏川清美は不思議そうに「私、長く寝ていたの?」