都林市の田舎は美しかった。
特に彼らがいる辺りは、どこを切り取っても一枚の風景画になるほどだった。
一月に来たばかりの頃と比べ、今は三月に入ろうとしており、都林市の気温は京都よりもずっと高く、草が生い茂り、鶯が飛び交い、至る所に濃い緑が広がり、まるでモネの絵画のようだった。
しかし、結城陽祐にはこの至る所にある美しい景色を楽しむ余裕はなかった。
彼の気分は最悪だった。
一ヶ月前の確信に比べ、初めて茫然とした気持ちになっていた。
島にいた時、彼は今度こそ佐藤清美を見つけられると確信していた。
人は物事に希望を持たない時、期待値が低くなり、挫折も比較的受け入れやすくなる。オーストラリアにいた時、加藤迅が簡単に彼らを見つけさせないことは分かっていたので、その期間は辛かったものの、清美の居場所が見つからなくても、落ち込みは今ほどではなかった。
全ての手がかりが清美が島にいることを示していたのに、一ヶ月かけても見つけられなかった。
この挫折と失望は言葉だけでは癒せないものだった。
特に四ヶ月が経過した今、彼の清美はどうしているのだろうか?
彼女と加藤迅は...どうなっているのだろうか?
四ヶ月で起こりうることは多すぎた。
清美が生まれ変わってから彼に出会い、お互いに心を通わせ愛し合うようになるまでもたった六ヶ月だった。
もし加藤迅が彼女を催眠術にかけ、彼女自身が加藤迅のような...結城陽祐はそれ以上考えることができなかった。
これらの問題は骨に刺さった毒のように彼を苦しめていた。
今、彼が最も恐れているのは、人は取り戻せても、心が取り戻せなくなってしまったらどうするかということだった。
そして、人を見つける時間が遅くなればなるほど、このリスクは高まっていく。
田舎道を歩きながら、結城陽祐の周りには憂鬱な空気が漂い、完璧な美貌の顔には病的な白さが浮かんでいた。
まるで四月の信州市での病的な美青年に戻ったかのようだった。
教会は別荘地区から遠くなく、結城陽祐は二十分ほど歩いて到着した。
近づく前から教会から聞こえてくる笑い声が聞こえ、結城陽祐がその方向を見ると、教会は小さく、ヨーロッパでよく見かけるゴシック様式の建物で、周りは非常に美しく装飾され、至る所に心遣いが感じられた。