夏川清美は考えるまでもなく否定した。自分の性格や好みのタイプは、誰よりも自分自身がよく分かっていた。
結城陽祐は絶対に彼女が選ぶタイプではなかった。
「この体の元の持ち主が彼のことを好きだったのかしら?」夏川清美はそう言って、気づけば自然と転生という設定を受け入れていたことに気がついた。
「分からないけど、確かに君は彼のことが好きで、私との再会を拒んだんだ。それと、もう一つ正直に話しておきたいことがあって...」加藤迅はここまで言って、申し訳なさそうに俯いた。
夏川清美は頭が爆発しそうだった。結城陽祐のことが好きになって先輩との再会を拒んだなんて、自分は狂っていたのだろうか?
それに先輩が正直に話したいことって何?
「お爺さんは大丈夫なんだ。君が戻ってお爺さんを探しに行くのを恐れて、何かあったと嘘をついた。私たちが離れる前に夏川お爺さんは既に結城家に住んでいて、君が戻ったら...もう二度と出てこられなくなると思って...」加藤迅は最後の方を小さな声で呟いた。