夏川清美は深いため息をつき、加藤迅を見つめた。
加藤迅は動かなかったが、表情は良くなかった。
「私が開けましょう」ノックの音がまだ続いていた。木村叔父さんは二人を見て立ち上がった。
夏川清美と加藤迅は何も言わなかった。
木村叔父さんがドアを開けると、結城陽祐は優雅にR語で挨拶をした。先ほど相手を教会から追い出した時の気まずさは微塵も見せず、木村久美に食事を与えている夏川清美の方を見て、「清美、夏川お爺さんがビデオ通話したいそうです」と言った。
この何気ない口調。
この親しげな態度。
特に夏川お爺さんと強調して。
夏川清美はスプーンを握る手が固まり、動かなかった。
「食べる、食べる...ママ、食べさせて」食事を与えられなくなった木村久美は、小さな手で茶碗を指さしながらもっと食べたがった。