第608話 清美、やめて……

「この売女!」銃を持った男は痛みに耐えながら呪いの言葉を吐き、夏川清美に向かって発砲した。

夏川清美は相手の反応の遅さに乗じて、相手の急所を蹴り上げ、すぐに逃げ出した。

バン!

銃声が突然背後で響き渡った。幸い、相手は先ほどの一撃で狙いが定まらず、弾丸を避けることができたが、その瞬間加藤迅と正面衝突してしまった。

彼は彼女を後ろに引き寄せ、「清美ちゃん、大丈夫?怪我はない?」

夏川清美は急いで首を振った。

この時、隣の別荘にいた人々がこちらの物音を聞きつけ、急いで駆けつけてきた。

殺し屋は自分の存在が露見したことを悟り、もはや執着することなく、別荘の裏口から逃走した。

夏川清美はそれを見て深いため息をつき、先輩の体から漂う強い酒の匂いを嗅ぎ、目に自責の色を浮かべながら、「大丈夫ですか?さっきの人は誰だったんですか?」