第616章 彼は全く後悔していないが、諦めた

「ママ、ママ...」木村久美は実の父親にカバンのように抱えられて不快そうで、小さな口で絶えずママと呼んでいた。

夏川清美は深く息を吸い、気持ちを落ち着かせて、久美に手を伸ばした。「久美、ママが抱っこしてあげる」

今回、結城陽祐は夏川清美を困らせることなく、久美を彼女に渡した。

しかし、久美を夏川清美に渡したものの、彼は緊張を解くことなく、母子二人のそばで見守り続けた。

夏川清美は長い間小さな子と触れ合っていなかったので、抱きしめている柔らかくてぽっちゃりした我が子の頬や鼻、耳を嬉しそうに触っていた。

失って取り戻すことほど、大切さを実感させるものはない。

彼女の腕の中の久美も興奮していて、夏川清美の腕の中にしばらくいた後、体をよじって夏川清美に抱かれたままジャンプしたがった。