第620話 私が悪い、今夜お仕置きして?

十分後。

ダニエルは母親を落ち着かせてドアを開け、二人に申し訳なさそうに言った。「申し訳ありません。母の具合が良くないので、薬を飲んで横になったところです。今日はお会いできないと思います。」

結城陽祐は先ほど林お母さんというこの旧友の気性を目の当たりにし、夏川清美を中に入れたくないと思っていたので、ダニエルの言葉を聞いてちょうど良かった。

夏川清美は幼い頃から自分の頑固なお爺さんを恐れていたが、それでも実の、そして自分を育ててくれたお爺さんだったので、我慢せざるを得なかった。しかし他人に対してはそれほどの忍耐力はなく、ましてや見知らぬ人となれば、ダニエルの言葉を聞いてすぐに辞去することにした。

ただし、ダニエルは特に夏川清美の連絡先を控えておいた。

このような出来事があり、別荘に戻ったときには既に午後だった。

隣の爆発した別荘は既に修繕され、壁が新しくなった以外は特に変わった様子はなかった。

夏川清美が無意識に何度か見つめていると、傍らの男が言った。「爆発は建物の主要構造にはあまり損傷を与えなかった。木村夫婦が人を雇って修繕したが、加藤迅は戻ってきていない。」

最初は普通に聞こえていたが、最後の一文で夏川清美は結城陽祐の方を見た。

結城陽祐は平然とした表情で、まるで単なる事実を述べているかのようだった。

夏川清美はそれを見て軽く首を振った。

その時、車は彼らの別荘の前に停まり、雲さんと立花雅は既に木村久美を抱いて待っていた。

夏川清美は他のことは気にせず、急いで車を降りて木村久美を抱きに行った。

入院していた間、自分の宝物を十分に抱きしめることができなかった。

小さな子供は念願のママに抱かれ、手足をバタバタさせて喜び、夏川清美には理解できない赤ちゃん言葉でおしゃべりしていた。

しかし残念ながら、ママの良い香りのする抱擁の中にいられたのはほんの少しの間で、木村久美はすぐにパパに引っ張り出されて地面に降ろされ、這わされた。

夏川清美は「……」

「今は前傾姿勢での発達が重要な時期だ。抱っこばかりせずに、這わせなければならない。」そう言って夏川清美の手を引いて別荘の中へ向かった。

木村久美は這いながら追いかけた。

雲さんと立花雅は複雑な表情で見ていた。

夏川清美は振り返って可哀想な息子を見て、不満げに男を睨んだ。