第614章 二少の策略

神木彰は躊躇することができなかった。

3分後、医者が病室に来た。

夏川清美は横で静かに医者が男の傷を処置するのを見ていた。顔が歪みそうになった。

彼女は先ほど恥ずかしさと怒りで、彼の傷のことを忘れていた。

結城陽祐は横に座り、表面上は冷静そうに見えたが、実際には夏川清美の反応を注意深く観察していた。心の中では喜んでいた。この自作自演の策は効果があったようだ。

医者が去った後、結城陽祐はベッドに横向きに寝て、一言も発しなかった。

神木彰は空気を読んで退室した。

夏川清美は布団をかぶったまましばらく我慢していたが、最後には耐えきれず、「痛い?」と聞いた。

「痛くない」結城陽祐は強がり続けたが、眉間にはしわが寄っていた。

「見せて」夏川清美は眉をひそめた。痛くないはずがない。先ほど医者が傷の処置をするのにかなり時間がかかっていた。