第643話 あなたがいくらで売れるのか気になる

「清美、部屋に戻りましょう」結城陽祐は母親を無視して、夏川清美の手を引いて立ち去った。

夏川清美は福田美沙紀を一瞥してから、結城陽祐の後を追った。

結城陽祐は彼女を自分の部屋に直接連れて行き、「疲れた?」と尋ねた。

「大丈夫よ。でも、お母様の言っていたことは本当なの?」夏川清美は真相を知りたがった。

結城陽祐は夏川清美のこの質問にどう答えればいいのか分からず、少し躊躇してから「詳しいことは私もよく分からないんだ。気にしないでいいよ」と言った。

「でも、あの方はあなたのお母様よ」夏川清美は静かに強調した。

「それがどうした?僕はお爺さんに育てられたんだ」結城陽祐は多くのことを夏川清美に知られたくなかったので、適当に答えた。

夏川清美は結城陽祐の態度を見て、付き合い始めてから今まで彼が母親のことをほとんど話さなかったことを思い出し、優しい声で「陽祐さん、大丈夫?」と尋ねた。