第660章 身分は栄光であり、枷でもある

結城財閥の周年記念は小さな出来事ではなかった。

特に近年、外部からの世論が結城財閥に対して increasingly不友好的になり、内部の各家の争いも絶え間なく続いていた。

結城財閥全体の経営状況は以前ほど良くなかった。

さらに昨日の宗像正紀の事件で、流出した動画は宗像秋道を表舞台に押し出すと同時に、結城財閥の内部抗争も表面化させた。

このような状況下で、周年記念は大規模なショーとなった。

結城陽祐は佐藤清美が同伴できないことを残念に思ったが、清美が来ないほうが良いとも感じた。あの人たちの偽善的な顔を見なくて済むからだ。

翌日。

結城陽祐は時間通りに会場に到着した。オーダーメイドのスーツを着こなし、幅広い肩と細い腰、白いシャツのボタンを一番上まで留め、体にフィットしたスラックスに黑の手作り革靴を合わせ、ネクタイは締めていなかった。フォーマルでありながら自然な雰囲気を醸し出し、その妖艶な顔立ちで会場に入るや否や注目の的となった。