第683章 届けるのは金ではなく命

結城陽祐の「いいよ」という一言で、福田美沙紀は急に顔を上げた。

結城蓮は思わず結城陽祐の腕を掴み、首を振りながら母親の方を見た。「お母さん、私は小さい頃から何でもお母さんの言う通りにしてきました。どの学校に行くか、何を専攻するか、どんな彼氏を見つけるか。どうしてお母さんは陽祐さんだけは放っておいてあげられないの?このままだと陽祐さんを失うことになるって分かってるの?」

「私は何でも彼の好きにさせてあげられる。でもこれだけは譲れない!」福田美沙紀は執着的に主張した。

結城陽祐は彼女と無駄話をする気が全くなかった。「分かった。約束する。今すぐ佐藤清美の居場所を教えてくれ」

「今すぐ公表させなさい」福田美沙紀は結城陽祐を信用していなかった。

結城陽祐は歯を食いしばりながら、いわゆる母親を一瞥し、結城財閥の広報部に電話をかけた。