宗像校長の事務室を出た夏川清美は、医学資料の束と申込書を手に持っていた。
それは国際医学コンテストの申込書だった。
前回の大学生医学技能コンテストとは異なり、これは真に専門的な医学コンテストで、競うのはもはや医学技能ではなく、医学研究プロジェクトの成果だった。
このようなコンテストでは、賞の価値は国家レベルのものだった。
宗像校長の意向では、夏川清美がこのコンテストでトップ10に入れば、正式な研究員になることができ、彼女のために政府の保護を申請できるということだった。
ちょうど医科大学の研究室で進行中の心臓外科プロジェクトにまだ一枠空きがあり、夏川清美を登録することができた。
ただ、途中から参加することで他の人からの反感を買うかもしれないので、宗像武山は夏川清美に心の準備をしておいてほしいと思っていた。