第717章 二少家の醋坛子がまた翻った

夏川清美は少し気まずそうに振り返ると、ベッドに横たわる男性が彼女を見つめているのが目に入った。

二人の視線が交わり、一瞬互いに固まった。

「あの、針が少しずれてるから、調整させて」夏川清美は彼の熱い眼差しに気づき、その中に渦巻く感情が何なのか分かりすぎるほど分かっていた。思わず唇を噛み、適当に言い訳をした。男を苦しめようという気持ちはすでに七割方消えていた。彼女は頭を回して最後の銀針を握り直した。

そして夏川清美は気まずいことに気づいた。彼女は先ほど男への復讐心だけで頭がいっぱいで、二人の今の状況に全く気が付いていなかったのだ。

今、目の前の男性の裸の胸と横たわる姿勢、そして自分のゆったりとしたカジュアルワンピースを見ると、耳たぶが赤くなった。彼女は無理やり冷静さを取り戻し、最後の針を刺した。