第739章 彼はその顔だけが見られる

結城陽祐は片手で小さなぽっちゃりクマを抱き上げ、「どうやら僕らのクマちゃんはパパが恋しかったようだね」と言った。

「ぱぱぱぱぱ……」久しぶりにパパに抱かれて、クマちゃんは非常に興奮し、ずっと「ぱぱぱぱ」と発音も不明瞭になっていた。

いつも息子に対して鉄の心を持っていた結城陽祐でさえ、この「パパ」という呼び声に心が溶けてしまい、顎を下げて息子の白くてぽっちゃりした小さな顔を撫でた。

クマちゃんはパパにからかわれて、くすくす笑い、とても嬉しそうだった。

結城陽祐はそれを見て、得意げに夏川清美に眉を上げた。

夏川清美はその幼稚な様子を見たが、急いでクマちゃんを家に連れて帰ろうとはしなかった。

結城お爺さんは孫を見て嫌そうな顔をし、夏川清美に座るよう促し、結城執事に厨房に夕食の準備を指示してから、夏川清美に午後の出来事について尋ねた。