第65章 過去の過ち

発表からたった1時間しか経っていなかったが、ケイトはずっとマリッサの顔を観察していた。

彼女が自分の成果を発表した時、マリッサの顔が青ざめた様子。シンクレア氏はあの部屋で起きたことを誰にも話すなと特に言っていたけれど。でも、この報酬のことは含まれていないはずよね?

彼が話していたのはアミールと彼の財産のことだった。最初は怒っていた。シンクレア氏がこの女のせいで婚約者をいじめていると。

でも結果は素晴らしかった。カフェをくれたのよ!

わぁ!

今夜は祝わなきゃ。

マリッサは発表前ほど明るく元気そうには見えなかったけど、今日は自分の日だった。

ケイトの日!

彼女は欠伸をして、それを抑えた。ここはベッドじゃなくてオフィスの席だと自分に言い聞かせた。

ああ、もう!今日は何もする気が起きない。夢のカフェのことで頭がいっぱいだった。