第30章 助けてもらえませんか?

その時。

友達と一緒に遊びに来たばかりの、表情の冷たい土屋遥は、顔を上げるとその光景を目にした。

灰原優歌は上がった目尻に笑みを浮かべ、ステージで演技している人に向かって無造作にグラスを掲げた。彼女から視線を逸らすことなく、少しずつ首を傾けて飲み干した。

その様子を見て。

ステージで妖艶に踊る女性は、なぜか心臓の鼓動が速くなり、顔が熱くなった。

一方、ステージ下で熱狂的に声を上げる人々は、何も異常に気付いていなかった。

その後。

「このお姉さん、すごすぎだろ!男女問わずモテるの?初めて見たわ!!」

土屋遥の隣にいる友人が灰原優歌を見ながら感心した。

この顔なら、お姉さんの恋愛市場に参入したいと思った!

しかし、土屋遥の表情は暗くなった。

彼のクラスメイトは、どうやら自分よりも私生活が乱れているようだ。