その時。
友達と一緒に遊びに来たばかりの、表情の冷たい土屋遥は、顔を上げるとその光景を目にした。
灰原優歌は上がった目尻に笑みを浮かべ、ステージで演技している人に向かって無造作にグラスを掲げた。彼女から視線を逸らすことなく、少しずつ首を傾けて飲み干した。
その様子を見て。
ステージで妖艶に踊る女性は、なぜか心臓の鼓動が速くなり、顔が熱くなった。
一方、ステージ下で熱狂的に声を上げる人々は、何も異常に気付いていなかった。
その後。
「このお姉さん、すごすぎだろ!男女問わずモテるの?初めて見たわ!!」
土屋遥の隣にいる友人が灰原優歌を見ながら感心した。
この顔なら、お姉さんの恋愛市場に参入したいと思った!
しかし、土屋遥の表情は暗くなった。
彼のクラスメイトは、どうやら自分よりも私生活が乱れているようだ。