「楽しい所に行くわ」
灰原優歌のゆったりとした声に、柴田の父の表情が急に険しくなった!
元々灰原優歌は勉強が苦手で性格に欠点があったが、それほど深刻ではなかった!しかし今のように無軌道になったわけではない!
まったく手に負えない!
「灰原優歌、お前に裕香のように分別があって賢くなることは期待していないが、せめて言うことを聞けないのか?!」
柴田の父は怒り出した。
傍らの柴田裕香はこの光景を目に収め、口角の弧を軽く押し下げた。
彼女も初めて柴田の父が怒るのを見た。
その時。
灰原優歌はすでに遠くに行ってしまい、柴田の父の最後の言葉を聞いたかどうかは分からなかった。
「子供を自分の側で育てないと、やはり他人のようになってしまうものだ」
柴田の母はスープを一杯すくい、柴田裕香に渡した。