第41章 お兄さまの小夜鳴鳥

彼は弱すぎるから、灰原さんも彼と近づきたくないのかな?

「お腹すいた?」

灰原優歌の声が響いた。

佐藤知行が顔を上げると、灰原優歌がペロペロキャンディーを咥えながら、ビニール袋からお菓子を取り出して彼の前に置いているのが見えた。

「あ、ありがとう!」

佐藤知行は思いがけない親切に驚いた。

灰原優歌は静かな瞳を伏せ、何かを考えているようだった。

佐藤知行はしばらくの間、声を出す勇気が出なかった。

その後彼女は尋ねた。「私に守ってほしいの?」

「い、いいえ!僕は強くなれる、灰原さんを守ることだって...」佐藤知行の言葉は最後になるにつれ、自信なさげになっていった。

灰原優歌はそれを聞いて、瞳の光が少し暗くなった。

彼女は唇の端をゆっくりと上げ、突然興味深そうに尋ねた。

「喧嘩はできる?」