久保時渡があまりにも長くこの寝室に入っていなかったため、部屋の中の彼の気配は薄れていた。灰原優歌も徐々に、自分の睡眠の質が低下し始めていることを感じていた。
そして。
真夜中になって、柴田裕也の言葉を信じてしまいそうになった——クマのぬいぐるみで安眠できるという。
灰原優歌はベッドサイドテーブルのクマのぬいぐるみを見つめ、心が空っぽになっていく。
手に取ってみようかな?
このバカなクマ、なんだか可愛いかも。
しばらくして。
灰原優歌は突然、自分がどんな正気を失った考えを持ち始めたのかに気づいた。
「おかしくなりそう。」
彼女の美しい眉目には少し苛立ちが浮かび、手に持っていたコップをテーブルに置いた。
数歩前に進み、灰原優歌は布団をめくって、ベッドに横たわった。
10分後。