内田和弘と柴田裕香が珍しく校門の前に現れた。
登校中の生徒たちは、この美男美女のカップルを思わず盗み見て、羨ましそうな表情を浮かべていた。
この高スペックな学業優秀カップルは、まさに学校の誇りだ!
突然。
横にいた生活指導の主任が、ギリギリのタイミングで来た灰原優歌に気付いた。彼は嫌悪感を露わにし、腕時計を見た。
「灰原優歌、今何時か分かっているのか?」
「あなたの時計、壊れてますか?」
灰原優歌は涼しい顔で言い返し、そのまま立ち去った。
その瞬間、生活指導主任の顔が真っ黒になり、喉から血の気が引いた!
十数年の教師生活で、灰原優歌のような手に負えない生徒は初めてだった!!!
この一幕は、内田和弘と柴田裕香の目にも入った。
柴田裕香は密かに内田和弘を見つめ、彼が無表情で目に嘲りと軽蔑の色を浮かべているのを確認すると、安堵のため息をついた。
その後。
内田和弘は軽蔑的に冷笑した。「こんな奴を、柴田家が気に入るなんてね?裕香、彼女はお前と比べる資格もないよ」
そう言うと、内田和弘は灰原優歌のことで時間を無駄にする気はないようで、教室に戻り、金井先生が編纂した計算機の本をさらに研究しようと考えた。
結局のところ、金井雅守は国内でローシェルのマーカスと並び称される計算機分野の第一人者なのだ。
しかし内田和弘も信じられなかった。いつも控えめで近寄りがたい雰囲気のA.M.計算技術研究所が、まさか彼らの高校に来るなんて……
本当に予想外の喜びだった。
……
七組の教室。
灰原優歌が入ってきたとき、教室には誰もいないことに気付いた。どうやら皆、講堂に集まっているようだ。A.M.計算研究所のためだろう。
彼女は眉を上げ、みんながA.M.計算研究所に対してこれほど熱心だとは思わなかった。
そして。
灰原優歌がカバンを置いて、出ようとした時、彼女の携帯が鳴った。
マーカスからの電話だった。
灰原優歌は綺麗な目尻を動かしたが、電話に出た。
「どうしたの?」
「優歌、金井雅守のジジイ、お前の学校に行ったのか??!」
マーカスは怒り心頭で、金井雅守がここまで厚かましいとは思わなかった!!
彼のメンバーを引き抜くために、高校まで人探しに行くなんて!!?
「たぶんね、A.M.計算研究所が来たって話だから」灰原優歌は考えながら答えた。