第61章 お爺様が大好き！

「お父さん、私には分かりません、本当に分かりません」

柴田の母は即座に否定し、心の中で更に煩わしく思った。このような事を灰原優歌はなぜもっと早く言わなかったのか。

「分からない？もっと優歌のことを気にかけていれば、使用人がこんなに優歌を虐めることができたのか！？」

柴田おじい様は目の前が暗くなり、灰原優歌は柴田おじい様が感情的になりすぎるのを見て、すぐに支えた。

「おじい様、まずお座りください」

灰原優歌は柴田おじい様を支えて座らせ、紙袋を取り出した。中には赤い太い毛糸のマフラーが入っていた。

「このプレゼントは、おそらくあと2、3ヶ月したら、おじい様が使えるようになります」

灰原優歌は笑いながら、綺麗な目尻を上げた。

このマフラーは前の彼女が柴田おじい様のために準備していたものだった。しかし半分しか編んでいなかったが、昨夜残りの作業を完成させる時に、突然思い出したのだ。