その時。
学校を出たばかりの土屋遥が目にしたのは、このような光景だった。
いつもは自由奔放な隣の席の彼女が、無表情で黙り込んでいる姿を初めて見た。その様子は魂の深部からの拒絶を漂わせていた。
土屋遥は思わず拳を口元に当て、また笑みを漏らした。
このプレゼントは、確かに彼女のようなクールな隣席の子には相応しくないな。
しばらくして。
灰原優歌も口を開いた。微笑みながら丁重に断る。「ありがとう。でも、こういう玩具は好きじゃないから、他の人にあげてください」
この時、灰原優歌はまだ、柴田裕也が柴田裕香と同じプレゼントを用意したのだと思っていた。
しかし、灰原優歌は本当にこういうものが好きではなかった。
特に、可愛さのポイントが分からないこのバカみたいなクマは。
「ダメだ、これは優歌のために特別に買ったんだ」柴田裕也はきっぱりと断り、端正な顔立ちには真剣な表情が浮かんでいた。