しかし、ずっとそうだった。
柴田裕香が欲しがるものは、柴田裕也がいつも手に入れて、彼女を喜ばせていた。灰原優歌にも同じものを用意していたが、結局のところ、灰原優歌との関係が一番薄かったのは柴田裕也だった。
結局、灰原優歌は家に2年以上住んでいたが、柴田裕也とは2回しか会っていなかった。
「じゃあ、今すぐお兄ちゃんに聞いてみる。空港に着くのはいつかって。私が迎えに行くわ!」
柴田裕香は甘く笑った。
彼女が公の場で柴田裕也を出迎えれば、柴田裕也の身分が明らかになった後も、みんなは柴田家で一番寵愛されているのは柴田裕香だと思い続けるはずだ!
しばらくして。
柴田裕香は柴田裕也にメッセージを送った。
【お兄ちゃん、私が迎えに行ってもいい?話したいことがあるの[泣]】
メッセージを送ったものの、柴田裕香は柴田裕也からの返信を受け取れず、忙しいのだろうと思った。
しかし。
午後になって。
灰原優歌は何通かのメッセージを受け取った。
【優歌、どうして僕をブロックしたの??】
【サプライズがあるんだ。放課後一緒に遊びに行かない?~】
【最近、僕が優歌を怒らせてしまったのかな?ごめんね優歌、僕が悪かった。話を聞いてくれない?~】
……
灰原優歌はまぶたを震わせた:「……」
この柴田裕也は、柴田浪よりもっと変だな?
彼女の印象では、柴田裕也が柴田裕香に話しかける時の口調は、こんなにあやしたり甘えたりするものではなかった。
そう考えると、灰原優歌は突然、この兄たちは皆キャラ設定と合っていないような気がした。
しかし。
灰原優歌の柴田裕也に対する印象は、三人の兄の中で一番良かった。おそらく、柴田裕也の元の彼女への態度も、穏やかで優しかったからだろう。
だが原作では、次男の結末は最も悲惨だった。ロリコンだと誹謗中傷され、自分のファンに硫酸をかけられて顔を損傷するという結末を迎えた。
灰原優歌は瞳を暗くし、それでも返信した。
【暇じゃない。】
メッセージを送信すると、すぐに相手から返信が来た。
【じゃあ僕が迎えに行こうか?少し食事をして、すぐに送り届けるよ。どう?】
【優歌の勉強の邪魔はしないから[泣]】
「……」
灰原優歌は目尻を動かし、返信を終えると携帯を引き出しに放り込んだ。
【好きにして。】
……
その時。